望遠鏡にはいくつかの方式があります。今回は、中でもレンズを組み合わせた「屈折望遠鏡」について記載します。
ガリレオ望遠鏡
凸レンズの対物レンズと凹レンズの接眼レンズを組み合わせた望遠鏡。
正立像のため、裸眼でみたときと同じ状態で拡大された虚像が見える点が良い。
倍率について
ガリレオ望遠鏡のデメリットとして、「高倍率にする視野が極端に小さくなる」点がある。
射出瞳が対物レンズと接眼レンズの間にできるため、射出瞳を目の瞳に合致させることができない。
視界の半径\(\omega\)は次の式で表される
$$\tan\omega=\frac{\phi}{2m(am+i)}$$
ここで、\(\phi\)は対物レンズの直径、\(m\)は倍率,\(a\)は接眼レンズの後主点と眼球回転中心の距離、\(i\)は対物レンズと接眼レンズの距離(≒望遠鏡全長)。
倍率が分母に2回出てきています。したがって、他の条件が同じであれば、視界の広さは倍率の約2乗に反比例します。
$$\tan\omega_{\rm Gallerian}\propto 1/m^2$$
直感的には、倍率が2倍になると、
①接眼レンズを出た平行光線の角度が外側へ2倍大きくなっている点
②光線幅が1/2倍となっている点
から、視界の広さが約1/4となっているのだと考えられる。
ケプラー望遠鏡
対物レンズと接眼レンズがどちらも凸レンズの望遠鏡。間で中間像を作る。
倒立した中間の実像を虫眼鏡で見ている感じになります。したがって像は倒立となる点に注意が必要です。
視界については、倍率に反比例します。
$$\tan\omega_{\rm Keplerian}\propto 1/m$$
これは、接眼レンズの後焦点位置に眼の瞳を持っていけば、角度が2倍となっても眼に光が入るようにすることはできる。従ってガリレオ式望遠鏡の①「倍率が上がると外側へ光線がそれていく」効果はここでは効かず、②「光線幅が倍率に反比例して細くなる」効果のみが現れるため倍率に反比例する視界となっています。
まとめ
ガリレオ式とケプラー式の主な違いは以下の表のようになります。
ガリレオ式 | ケプラー式 | |
全長 | 短い(f1-f2) | 長い(f1+f2) |
視野 | 倍率mの2乗に反比例 | 倍率mに反比例 |
像 | 正立 | 倒立 |
利用例 | オペラグラス | 天体望遠鏡 |
コメント