なるふぉです。カメラ等の光学系で、F値が「明るさ」を示すと言いますが、なぜなのでしょうか?ここではその理由について考えます。
F値(F-number)とは?
F値(F#)とは、入射瞳直径(D)と焦点距離(f)の比のことです。
$$F\#= f/D$$
参考:「原著5版 ヘクト 光学 I 基礎と幾何光学」
入射瞳(D)を変えたとき
下の図のような簡単な系で考えます。
入射瞳径(が大きいほど、取り込める光量が多くなり、明るくなるのは直感的に「そうだなぁ」と思います。
円形の開口であれば、光量Iは面積である入射瞳直径(D)の2乗2比例します。
$$I\propto D^2 \tag{1}$$
焦点距離(f)を変えたとき
一方で、焦点距離を変えたときは、口径は同じです。
一見集める光量は同じに見えるため、明るさは同じに見えます。
ここで、単位面積あたりの光量を考えます。
微小な角度Δθ入射角度が変わったとき、像の位置は
$$f\tan(\Delta\theta)\simeq f\Delta\theta$$
となります。したがって、角度ゼロからΔθまでの角度で入射する光は、\(\pi(f\Delta\theta)^2\)の範囲に分布することになります。したがって、集光位置での単位面積あたりの光量は\(f^2\)に反比例することになります。
$$I\propto 1/f^2 \tag{2}$$
まとめ
式(1)(2)より、単位面積当たりの光量は
$$ I\propto D^2/f^2=(1/F\#)^2$$
となります。したがって、F値は明るさを表す指標となります。
例えば、F値が2倍になれば明るさは1/4, 3倍になれば1/9,…となります。
したがって、明るさが8, 4, 2 ,1倍となるように、カメラのf値の表示は、1.4, 2, 2.8, 4… となっています。
F値 - Wikipedia
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